「自宅に戻る」という選択肢を残すために―第2回終了症例振り返り会
- 2026年10月27日
- 活動報告
今回の終了症例振り返り会では、医療に対する不信感があり、治療についてご本人・ご家族なりの考えをお持ちだった90代女性の症例を取り上げました。
訪問診療を受けながら自宅での生活を続けていましたが、体調の変化により救急搬送され、その後は自宅へ戻らず、施設入所の方針となりました。
今回、職員みんなで考えたのは、
「医療に不信感を持つ方と、どのように関係をつくっていくべきか」
「自宅に戻るという選択肢を残すために、できることはなかったか」
治療を望まない理由を、どこまで聞けていたか
薬を使わない、積極的な治療を望まないという判断にもその方なりの理由があります。
過去の医療体験が影響していることもあれば、副作用への不安やこれまで大切にしてきた考え方が背景にあることもあります。
職員からは、「日々の診療や訪問の中で、医療への不信感が生まれた理由を少しずつ聞けていたら、何か変わっただろうか」という意見が出ました。
一方で、治療を強く勧めることで、訪問診療や訪問看護そのものを断られていた可能性もあります。
ご本人・ご家族の考えを尊重しながら、細くても関係を切らずに支援を続けることにも意味があったのではないか。そんな意見もありました。
在宅療養でできることは、十分に伝わっていたか
救急搬送や入院をきっかけに、退院後の生活が大きく変わることがあります。
その際、ご家族や入院先の病院が「訪問診療や訪問看護でどこまで対応できるのか」を知っているかどうかで、退院後の選択肢も変わってきます。
今回の話し合いでは、
「在宅療養で受けられる医療や支援について、ご本人・ご家族に十分伝わっていただろうか」
「病院側にも、在宅で対応できることをもっと知ってもらう必要があるのではないか」という意見が出ました。
自宅へ戻ることが必ず正解というわけではありません。
ただ、施設入所しか選べないと思うのではなく、自宅での療養も含めて比較し、ご本人とご家族が納得して決められることが大切だと考えています。
ご家族の決断の背景にも目を向ける
ご家族が施設入所を選んだ背景には、介護への不安や負担、急な体調変化への戸惑いがあったかもしれません。
「なぜ施設入所を決めたのか」
「急に生活の場が変わることを、ご家族はどのように受け止めているのか」
そこまで確認できていただろうかという意見もありました。
訪問看護では、ご自宅での様子だけでなく、ご家族の表情や何気ない言葉から不安を感じ取ることがあります。
そうした気づきを医師やケアマネジャー、病院などの関係者と共有することも、在宅療養を支えるうえで大切な役割です。
次の支援につなげるために
今回も、医師、看護師、リハビリ職、診療アシスタント、事務職など、さまざまな立場から意見が出ました。
振り返っても、何が正解だったのかを簡単に決めることはできません。
それでも、ご本人やご家族が治療を望まない理由を知ろうとすること、在宅療養でできることを早い段階から伝えること、ご家族の思いも含めて関係者で共有することは、次の支援に生かせると思います。
アンド訪問看護ステーションでは、神奈川区・鶴見区・港北区を中心に、利用者さまとご家族が望む生活を続けられるよう支援しています。
これからも、一つひとつの関わりを振り返り、次の利用者さま、ご家族への支援につなげていきます。
